2023.12 19

イベント

【人は誰でも社長になれる】創業者中村が大学生に伝えた「経営を始めるために必要な行動」とは?


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【人は誰でも社長になれる】創業者中村が大学生に伝えた「経営を始めるために必要な行動」とは?

目次

11月17日にTeam Energyは、情報経営イノベーション専門職大学(iU)とのコラボレーションにより、「失敗学のすゝめ」を開催しました。今回はその中でTeam Energy創業者 中村誠司の講演を記事化しましたので、ぜひご覧ください。

イベント概要

■タイトル
失敗学のすゝめ

■主催
Team Energy Seeds

■講演
中村誠司 Team Energy株式会社 創業者

■イベント概要
「1,000社の会社設立」を目標に掲げる、Team Energy。プロジェクトを進める中で大切にしているのは、失敗を許容する文化。本イベントでは「失敗も含めて、チャレンジしていくことの大切さ」を伝えています。

「失敗学のすゝめ」の詳細レポートはこちら。

スピーカープロフィール

中村誠司
Team Energyグループ代表 1968年4月生まれ。大学卒業後、大手証券会社へ入社。「顧客が得する思いを感じてもらえる仕事がしたい」と決意して退職。
1993年にコスト削減コンサルティング事業を始め、中央電力の前身であるメリックスを創業し、省エネメーカーを作り特許件数5件取得。2003年に日本で初めてマンションの電力一括受電サービスを開始。翌年中央電力を設立。
2018年「夢と事業が育ちあう森づくり」「共経営」を進めるべく、Team Energy株式会社を設立、グループ経営に乗り出す。

講演

社会問題を起因に、新しいビジネスを考える

中村誠司(以下、中村):初めまして、Team Energyの中村です。私は25歳で大手証券会社に入社し、株式を取り扱う仕事をするようになりました。しかし、毎日株価が上がったり下がったりしているのを見ているうちに「このままでは自分の人生は面白くない。自分の人生を、もっと価値のあるものにしたい」と考え、退職。具体的なアイディアはなく、毎日弁当でも作って売ろうかと思っていたのですが、あるきっかけから企業のコスト削減プランを提案する事業を始めました。経営のノウハウもなければ特別賢いわけでもなかった私ですが、とにかく行動してお客様を獲得していきました。

起業から10年ほど経ったタイミングで、電力が自由化されました。それまで、各地域の電力会社だけが販売していた電力を、民間企業でも取り扱えるようになったということです。当時私たちは企業の省エネなどに取り組んでいたこともあり、参入を決意。これをきっかけに、創業13年目で年商10億円を突破しました。現在では、200億円を超えています。

その後はTeam Energy株式会社を設立し、失敗もたくさんありましたが、年商数百億円規模に成長しました。グループでは、他にも多くの企業を運営しています。来年は20社増やしたいと思っており、具体的に動いているのが原子力事業です。日本ではこれから原子力発電所の廃炉問題が起きてくるので、この社会問題をすでに経験しているフランスの技術を活用して、事業を通じてこの課題を解決していきます。

このように、私は社会問題からどのような事業を立ち上げるかを考えています。解決するためにはどのような策があるか考えていると、思考力の訓練になるものです。社会問題に巻き込まれるのではなく、どうしたら解決できるか考えることが大切です。みなさんの周りにも何かしらの社会課題があるはずなので、「身近にどんな問題があるのか」「どうしたら解決できるのか」をぜひ考えてみてください。

起業に必要なのはオリジナルなアイディアではなく、たくさんの人に話を聞くこと

みなさんは、起業には何が必要だと思いますか。日々起業したい方と話していると、「オリジナリティのあるアイディアが必要だ」と思っている方が多いようですが、そうではありません。現在、日本には450万もの企業がありますが、それらすべてが独自性のある事業を行っているわけではありませんよね。車を売る会社も、ビルを建てる会社も、ごまんとあります。

また、せっかくオリジナルな発想を得ても、いつかは真似されます。良いアイディアがあっても、良い組織が作れなければ会社として勝つことはできません。後から真似してきた人に、簡単に抜かれます。

だから、「新しいことが思いつかないから行動しない」というのは、非常にもったいないです。ビル・ゲイツ氏や孫正義氏に憧れるより前に、まずは独自性を置いておいて、1円稼ぐことを目標にしてください。稼ぐネタは、世の中にごまんとあります。自分に合うものを見つけて、小さくスタートしましょう。

実際に、すでに世の中にある事業を始めて稼いでいる方も大勢います。誰かの真似をすることは、まったくかっこ悪いことではありません。有名な大企業でも、多くは他社の真似から始まっています。みなさん、かっこいいことをしようとするから難しくなるのです。そもそも、かっこいい事業には人がたくさん集まるので、ライバルが増えます。つまり、成功する確率が下がってしまうのです。だからこそ、誰かの真似や人に馬鹿にされるようなことでも、1円稼げるならそれを実行してください。そこからだんだん、自分の強みを活かしていけばよいのです。

また、起業したい方はぜひ、たくさんの経営者に質問しに行ってください。みなさんはまだ若いですが、若さというのは大きな強みです。忙しい経営者の多くは、中年以降の人にはあえて時間を使うことはありませんが、若者が来てくれたら自分の経験を話してくれます。だから、行動力さえあれば様々な話を聞けるはずです。

人の経験を聞くことは、非常に有効的です。とにかく人と会って、聞く力を養ってください。誰かに話を聞くということは、その人の経験をもらうことになります。ただ、待っていても出会いはありません。自分から行動して、人に会いに行って、たくさん質問して話を聞いてください。

もう一つ大切なことは、「自分が先祖の代表」という気持で取り組むことです。みなさんは今、両親や祖父母、曾祖父たちから受け継いで来て、現代を生きています。そんな存在として、思いっきり生きていますか。長く続いてきた流れの代表として、自分のためだけではなく誰かのために時間を使ってください。まずは自分の家族の代表として、起業したら会社の代表として生きてください。

目標と期限を決めたら、とにかく行動することが大切

一般的に、新しい言語を使いこなせるようになるには、8000時間必要だと言われています。では、一人前の経営者になるにはどのくらい必要でしょうか。だいたい1万時間程度で、4~5年はかかります。それなら、どこかで会社員をするより、最初から社長をした方がよいでしょう。社長として成長するには時間が必要なので、起業したい方は迷わず社長になってください。社長になれば他の企業の社長に会いやすくなりますし、読む本も変わりますし、考え方がどんどん社長らしくなります。

社長になったら、経営者という立場で常にものを考えるようにしてください。筋肉と同じで、いきなり150キロのバーベルを持てなくても、毎日「どう筋トレするか」「どう筋肉を休ませるか」「どんな食事をするか」と考え実行することで、いつか持ち上がるようになります。経営も積み重ねが肝心で、ずっと考えていけばどんどん経営者らしくなるものです。

もう一つ大切なポイントは、期限を切ることです。今週、今月、今年中に何をするか決めて動きましょう。何かをすると決めさえすれば、そのために何が必要かが見えてきます。大きな目標ではなく、体を動かすとか、新しい友達と話すとか、簡単なことで構いません。実行したら振り返って、また計画を立てて見直すというサイクルを身につけてください。この時、少しだけ大変なことを設定することがポイントです。少しだけ大変なことを続けると、ものすごく大変なこともやり切れます。

最後に、経営なんて誰にでもできます。真剣に取り組んで、人の話を聞いて、徹底的に行動さえすれば、本当に誰でもできるんです。お金やスキルがなくても、関係ありません。スタートは小さくても大丈夫です。まずは自分にできるものから始めて、とにかく行動していってください。

質疑応答

講演では、参加者の学生たちから中村への質疑応答が行われました。その内容をご紹介します。

Q.自分がやろうとしていることをネットで探すと、クオリティの高いものが見つかります。自分には手が出せないと思ってしまうのですが、どうしたらいいですか?

A.一緒に取り組んでくれる仲間を見つけてください。そこで一緒に訓練して、チャレンジしてみるんです。どうやったら仲間を巻き込めるか、今は何が足りないのか考えてみてください。

もし人が上手く集まらないなら、人集めに成功している人に話を聞いてみるとよいでしょう。そうやって人の経験を取り込んで、自分の課題を解決できる仲間を探します。「人がそろわないから動けない」というのではなく、どうしたらそろうかを考えて行動することが大切です。

また、毎日「こんな人と出会いたい」と意識したら、絶対にそういう人と出会えます。自分の意識をそこにフォーカスすると、声かけたり、人に紹介してもらったり、繋がりができていつか出会えるんです。とにかくじっとしていても何も始まらないので、どんどん動いてください。

Q.創業5期目までの計画は、どのように立てていましたか?私は今会社を経営していて2期目なのですが、3期目の収益が見えておらず不安です。ストック型の事業をやるべきだろうと考えています。

A.そもそも、先のことを最初から決めること自体がよくありません。想像力がなくなりますし、何か決めても戦争やコロナなどで環境がまったく変わる可能性もあります。社長というのは、ありとあらゆる環境に応じながら動いていかなくてはなりません。私も上手くいかないことばかりですが、「こんなものだ」と思って臨機応変に変えてまた行動します。

また、誰しもストック型の事業をやりたいと言いますが、若いうちは楽をしないでください。ストック型にしなくても、年商100億まではいけます。楽して稼いで会社を売って、金利で生活している方もいます。実際、海外のリゾート地でそういった方に会ったこともありますが、私は毎日つまらなそうに思えました。何にもモチベーションを持てない生活をするより、40歳ぐらいまでは死ぬ気で働いたらいいと思います。その方が未来は明るいです。

もちろんこれは個人的なアドバイスで、楽をした方がいいと言う人もいます。また、今の君のように「○○したい」という目標を持っていること自体は素晴らしいです。だから、次の目標を常に考えて、アクティブに挑戦してください。経験こそ、思考の幅を広げ成長のきっかけになります。

Q.起業のためにメンターからアドバイスをもらうのですが、そのフィードバックが自分たちがやりたいこととズレています。だんだん、何がやりたいのかわからなくなってしまいました。

A.目標を明確にしましょう。自分たちのやりたいことをやることが目標なら、メンターはそのための道筋を見せてくれます。ただ、メンターとしては「もっといいやり方がある」「もっと利益を上げられる」という選択肢を持っているので、そちらを教えてくれることもあるんです。やりたいことをやるなら、「儲からなくてもいいから、これをやりたい」と明確にすれば、そのために必要なことを教えてくれると思います。とにかく、目標をメンターと一致させることが重要です。

さらに、一人のメンターがすべてを知っているわけではありません。だから、他の人にも話を聞きに行ってください。いずれにせよ、「こうでもない、ああでもない」と思考が行ったり来たりしているのはとても良い状態です。ものすごく思考の訓練になっています。さらに一歩進めるためには、期限を決めてください。「来月までには方向性を決めて、何かしらスタートしよう」など決めると、動き出すかもしれません。

Q.自分には目標がありません。どうしたらいいのでしょうか。

A.目標がないということは、自分の人生をじっと探している時ですね。そういう時は、すべてに対して「なんでだろう」という疑問を持ってください。例えば今日の帰り道、「何でこの看板があるのか」「何で駅をここに作ったのか」など考えてみると、何かしらの意味を見つけられます。看板一つとっても、なぜ三角ではなく四角なのか、ポールはどうしてこの太さなのか、なぜこの色を使っているのか、すべてに意味があります。こうやって意味を考えていくと、疑問が生まれます。その疑問に、ビジネスの種があるんです。

大切なのは、観察することです。電車に乗っている時でも「あの人は疲れてるな。あの人を癒すために何ができるだろう。野菜を使ったジュースを手軽に飲めたらいいのではないか。ならどういうジュースを、どうやって作って、どうやって売ったらいいんだろう。自分で作ってみよう」と、目標が生まれます。目標ができたら、いつまでに実行するか期限を切ってください。締め切りが決まれば、必死で本を読んだり、人に話を聞きに行ったりするはずです。

目標がなければ、時間を無駄にしてしまいます。簡単に達成できる目標も、相当な努力が必要な目標も、1年後の目標も、10年後の目標も、何でも作ってください。目標が決まれば、どんどんそこに近づきます。時間というのは最大の宝で、その宝をどう生かすかで人生が決まります。

私も、いくつも目標があります。例えば、知り合いに元警察庁長官の方がいるのですが、その人は75歳ですが覇気があってものすごい迫力の持ち主です。そんな人に近づきたいと思うと、毎日の生活にも気合が入りますよね。

とにかく、目標が決まったら行動しましょう。頭も、体も、神経でも、何でもいいから動かしてください。動かし続けたら熱が出て、熱から情熱が生まれます。

Q.Team Energyでは起業のサポートをされていますが、非営利スタートアップも対象になりますか?知人が教育関係での起業を考えていますが、この業界はなかなか儲からないので非営利団体なども検討しています。

A.今のところはやっていませんが、個人レベルではなく、社会を巻き込めるものになれば、サポートをすることはあります。一点、教育業界での起業についてですが、先ほども伝えたようにいきなりオリジナルなビジネスモデルを考える必要はありません。「あの企業のようになろう」というモデルを真似してください。モデルにする企業でさえ儲かっていないなら、自分もずっと苦しいだけです。だから長く続けるためにも、教育業界にありながら売上をしっかり立てているところを探し、そこを参考に自分の企業の設計図を作ってください。

オリジナルの事業は、きちんと儲かってから余剰利益で取り組めます。もちろん、最初からオリジナルなことをして成功する人もいますが、成功率は相当下がります。自分がやりたいという考えだけで進むのではなく、まずはすでに儲かっているビジネスモデルを学んで、そこから勉強していくとよいでしょう。

Q.SNSを見ていると、過去に実績はあるものの、今は何もしていない人が批判的なことを書き込んでいるケースが多いです。そういう人が評価されているのを見ると、自分の気持ちがネガティブになります。どうしたらいいですか?

A.人と比べて文句を言うこと、これが最もやってはいけないことです。SNSを見ても、それ以外のシーンでも、本質を見抜くことなんてほとんどの人にはできません。今や経営の天才と言われている人や、超一流だと思われている企業でも、昔はよくないことをやったり、評判が悪かったりしていたケースは多々あります。商品一つ売るにしても、マーケティングに金をかけて人気を作り出すことはできます。

そういう風に作られたものと、自分自身を比べて、文句を言っても意味がありません。相手が悪い、社会が悪いと言っていても、何も生み出さないからです。相手と自分を比べて、自分には何が足りないのか、そこを分析しましょう。常に矢印は自分に向けて、自分の意識を何に使えばプラスになるかを考え続けてください。

また、何を見るかも大切です。どんな媒体を見て、どんな本を読んで、どんな情報をインプットしているかで自分が変わります。

Q.プレゼンテーションをする時、意識していることは何ですか?

今日は、参加した方の気持ちが少しでも心が熱くなってほしいという思いでプレゼンテーションをしました。だから、言葉遣いを間違えたり、よくない言葉を使ってしまったりしても、自分の言葉で想いを伝えたいと考えていました。

とはいえ、プレゼンテーションの技術については学んだ方がよいでしょう。私はそれを学べなかったので、誰かに話しても「社長の言うことはいまひとつわからなかったけど、熱さだけはわかりました」と言われることもあります。それから、回数を重ねることで上手くなっていくものなので、何度も経験してください。

もう一つ重要なことは、誰にどう思われるかを気にせず、自分の想いをありったけの気持ちで伝えることです。話が上手い人はたくさんいますが、そういう人と比べるのはよくありません。技術レベルではなく、「皆さんの大切な時間をいただいた以上、ここで熱を伝えられなかったら申し訳ない」という思いで、礼儀を尽くそうと思っています。

想いを伝えるには、原稿を読みあげるだけでは不十分です。言葉が短くても、言い回しが下手でも、自分の言葉で伝えてください。

司会者:お時間がきましたので、本トークセッションは終了とさせていただきます。学生の皆さん、たくさんの質問をいただき本当にありがとうございました。

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