2024.02 13

インタビュー

社長を育てる3つの鉄則。田中正の社長育成メソッド


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社長を育てる3つの鉄則。田中正の社長育成メソッド

目次

人が大事な資源だと考えるTeam Energyにとって、社長を育てることは最も大事なこと。

そもそも社長人材に求められる素質や、育てていくときのメソッドを知っていなければ、経営者としての素質を伸ばしていけません。

そこで今回は、日々社長たちとともに経営課題に取り組んでいる当社代表取締役の田中 正にインタビュー。Team Energyの社長たちを経営者として成長させるために意識していることや、社長を育てる鉄則についてうかがいました。

プロフィール

田中 正
Team Energy株式会社 代表取締役社長
スポーツクラブで働き、オリンピック選手育成に情熱を注ぐ。37歳で社内ベンチャーで起こした事業でマザーズに上場。100人の社長を育成するという志を持って(株)アンビシャスを創業する。その後、(株)関門海(東二部) 玄品ふぐ展開の会社再建で代表取締役社長に就任。社長兼CFO、会長兼CEOを歴任して退任。現在Team Energy株式会社で代表取締役社長を務める。

最も重要なのは「徳」と「才」のバランス

──社長人材に求められている能力のなかで、特に大事にしていることはなんですか?

たくさんあるけれど「徳」と「才」のバランスを見ています。

というのも、社長というのは誰かに支えてもらってなんぼの商売ですよね。

才というのは極論、お金で買えます。才能のある人を手に入れられればいいですからね。けれど徳はお金で買えません。徳がないと「この人を支えたい」という気持ちが起きないので、優秀な人も集まりにくくなります。

徳というのは1千万円あったとしてもすぐには積めないもの。

習慣の積み重ねや育ってきた環境、未来を見て「自分がどうなりたいか」を思い浮かべていられるか、さらに「人として」という根底の部分からも醸し出されるものです。

まずは「人として」という部分があって、その人が考える事業がある。

人としての考え方の根本が「徳」であり、徳がある人を支えたい人が集まって、事業が成長していくと思うんです。

でも「才」が勝っている人はすべてを自分一人でやってしまったり、部下のことを認めなかったりするので、支えてもらえないんです。

だからこそ僕は、頭の良さよりも「徳」を見ているんです。でも経営者であるならば、徳ばかりあって「アホやな」みたいに思われてもいけない。経験値や勉強も大事。51対49で少し徳が勝つ、というのが大事なのかなと思っています。

──「徳があるかどうか」は、どのように判断されていますか?

徳があるかないかは、言葉から出ます。徳のある人は。自分中心ではなく、常に2人称・3人称というか。

徳というのは根本的な話なので、言葉や話し方、立ち振る舞いから出てくるものなんです。

「僕すごいんですよ!」という人ではなく、「こういう人に支えられて今の僕があるんです」と周りの人のことにも触れながら発信できる人。その言葉も綺麗事や嘘くさかったらいけないですよね。その人の話を深掘りをしていくと、考え方の根底や生き方が見えてきます。

──人間性がないとどれだけ優秀な人でも社長は務まらないということですね。

どれだけ自分が優秀でも時代は変わっていきますよね。変わっていく中でも、新しい概念を持った人が周りにどんどん寄ってきてくれて支えてくれて、初めて企業として大きくなっていくと僕は思っています。

社長がいつでも立ち返る「志」が重要

──社長人材に求められる能力をあげるとするならば、何が必要でしょうか。

「志」を持っているかどうかだと思います。

志があれば「なぜそれをやるのか?」という目的になるし、会社を立ち上げた後には理念になる。志があることが大きい。

もし志がないと、経営上で迷子になった時に自分の目的を見失ってしまいます。経営者にとっての心のふるさとであり未来が志だと思っています。

志をきちっと持っている人、言語化できていなくても芯が通っている人は強さや突破力を持っていると思います。

誰から何を言われてもぶれないし、壁にぶつかっても乗り越えようとするし諦めない。言葉や考えが幼稚でも「なんかこいつあんねんな」と思える人は、志のある人ですね。

──社長になっていくうちに志や成長が見える人もいるんですね。

Team Energyでも、スタートアップの頃と1年経った今では見え方が変化している人もいます。創業当時には分からなかった話が、最近になって「田中さんが言っていたことが今になってわかってきました」というように成長してきている。志を掴んできているなと感じますね。

空気が読めない=感性がない!?

──次に重要なものはなんでしょうか。

感性です。

──感性というのは?

今起きている現象の捉え方や、10年後どうなりたいかという見えないものに関しての考え方が「感性」だと思っています。理屈だけではない部分。

たとえば「組織の中で何か起こってはいるけれど、まだ具体的に問題があるわけではない」「事業が崩れていっているのだけれど、売り上げは維持できている」みたいな時がありますよね。

そこで感性のある人は「いまここでちゃんとやらないとマズイな」となる。違和感を見逃せないんです。でも感性のない人は「問題は起きていないし」「まだ売り上げがあるから」という風に捉える。感性のある人が気付く「違和感」に気が付かないんですよね。

目に見えないけれど「何かおかしいな」「これならいけるな」というものを。感覚で捉えられるのは、社長として大きいと思います。

──自分の感性に従った結果、大きな失敗をする人もいますよね。

それは「感性がある」のではなく、思いつきと勘で動いているだけ。そういう人は「感性がない」んですよ。

物事の現状とこの先の結果には、時差が生じます。経営が順調な時にどんぶり勘定になったり油断してさまざまなことを怠ったりすると、悪い結果になりますよね。逆に悪い状態の時、周りが「やめましょう」といっても大丈夫だと信じて会社や事業に投資する。それが悪い状態を脱却するきっかけになったりする。

統計学などには現れないけれど、これが経営者の感覚なんだと思っています。経営者は数字に現れる前に事象を捉えられなければいけないんです。

──関門海を立て直した時の経験が生きているんですね。

倒産しかけている時こそ人件費にお金を費やしていましたね。これも感性が大きい。

──感性で意思決定をする時、周りへ論理的に説明するのが難しいと思います。それでも周りがついてきてくれるかどうかが「徳」に繋がりますよね。

そうですね。「田中さんが言うならついていきますよ」と思ってくれる人がいるのは、徳があってこそですよ。

──ロジックだけではなく、感性に従ってトップダウンで決定するのも大事なんですね。

10対90の意思決定なんてほぼできるけれど、49対51だと難しいじゃないですか。この差を受け止めて判断して、誰が責任がとるかって社長しかいないんですよ。そこは「なんで?」と聞かれても「俺が決めたからだ!」と言えるのが社長でなければいけない。その覚悟が必要だし、志がないとできない。

決断が「悪い方を向いているな」と思う時も、正直あります。でも「絶対にやってやるんだ」という強い意志で立ち向かっていくと、ターニングポイントが必ず来る。よくなるきっかけが生まれていくんです。

──感性を磨くにはどうしたらいいですか?

まずは「そういうものがある」と認識することから始めないといけないですね。

「感性っていう世界があるんだ!」と思うと、アンテナが張れるんです。アンテナがあれば自動的に周波数が合っていく。「感性なんかないですよ」という人は、そもそもアンテナを立てていない人。電波が来てもそれをキャッチできない。

たとえば空気が読めないという人は、感性がない人だと思っています。

「今、場の空気が変わったな」という瞬間ってありますよね。スポーツでも「流れが変わった!」なんて瞬間、あるじゃないですか。ファインプレーがなくても「なんか点が入りそうな気がする」なんて時もある。あれは理屈じゃなくて感性で見て判断していると思いませんか?この流れを読めない人は、感性や第六感的な部分が無くなっちゃっているのかなと思います。

情報や時代の流れから「波が来ている」というのはわかっても、そこで勝負をかけられる人は、感性が磨かれている人ですよ。

経営者ってこの感覚がなければ、事業の方向転換ができない。もともと自分の立てている計画が完璧だと思っていると、事業がうまくいかないことを人のせいにしてしまいますからね。流れや空気などを感性で捉えられてこそ、事業も成長していけるのではないでしょうか。

「コミュニケーション」から答えを導く社長教育

──これまでの話を聞くと「徳と才」や「感性」など、なかなか論理的に落とし込んで説明するのが難しいと感じました。正さんはどのように社長教育をしているのでしょうか。

社長の心得を伝える上で、実務的な話と戦略的な話、そして行動が伴ってこそだという部分をバランスよく伝えるようにしていますね。体系的に教えるだけではなく、実際の課題や実務的な悩みを会話から受け取って、答えを導いてあげるのも一つの教育だと思っています。

たとえば以前とある社長から「ボーナスの時期だけどパートさんへのボーナスをどうしたらいいか」という相談を受けました。話を聞くうちに「売り上げ的には苦しいが、気持ち的には出してあげたい」という本音が見えてきて、僕自身も出したほうがいいと思ったんです。

そこでまずは実務的な「ボーナスを出すための論理的な理由」を伝えます。そしてその後に「1人1000円でもボーナスが出れば、喜んでもらえるし会社から大事にされていると感じてもらえる」という感情に寄り添う話をしてあげる。PLはマイナスになっても、未来のPLはプラスになる。ときには「早く計画書を出しなさい」と発破をかけて背中を押すんです。

こういったコミュニケーションのなかで「実学」「感覚」「社長しか見えない投資へのリターン」を入れ混ぜながら伝えています。僕なりに答えや未来が見えていても「これを今言っても響かないだろうな」と判断して、タイミングを見計らう時もありますよ。

──今Team Energyアカデミアでは、先輩社長が後輩社長に教育するメンター・メンティー制を実現しようと進めていますが、正さん的にどのような教育の形が理想型だと思いますか。

今の形の延長線上に、理想の形はあると思います。

金田さんや中島さんが伝えているような体系だった実学的な仕組みと、彼ら二人とは違う角度で僕が経験からアドバイスをする。この三角形の仕組みはいい仕組みだと思っているんです。

あとは実績を作っていかなければいけないですよね。頭でっかちではなく、行動に移さなければ意味がない。僕がコミュニケーションの中で「中島さんが言ったこと覚えてるの?」とツッコミを入れていけば、メンティーである社長も捉え方や学び方が変わるし、中島さんや金田さんにフィードバックしていけば教え方も変わってくると思います。どんどんいいものになっていく。そこに実績が伴えば、金田さん・中島さんの言ったことの正しさが証明されていきますよね。

──教育の役割分担ができているんですね。

今三人がお互いのことをどんどん理解し合えて、本音で言い合える関係になってきていると思います。この関係性の延長線上にある社長を育てる仕組みも、うまくいく未来が見えてますよ。

まとめ

実学だけではなく、自身の経験や感覚をコミュニケーションを通して伝えるという田中のメソッド。

対話からそれぞれに合ったアドバイスや激励をもらえるのは、さまざまな経験を培ってきた先輩社長とメンター・メンティーの関係を構築できるからこそです。

Team Energyアカデミアでは、社長になるための考え方や経営において必要な学びを、現役の社長から学べます。

そのような環境で社長として成長したい! と思っている方はぜひ社長求人からご応募ください。

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